トレミーの定理

円に内接する四角形ABCDでAB=a、BC=b、CD=c、DA=d、AC=x、BD=yとすると、

ac+bd=xy

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対辺の積の和は対角線の積に等しい。



とのことである。驚きである。中学時代にこの定理の存在を知り、嬉しくなったものである。証明しようと頑張りましたが当時の私には歯が立ちませんでした。解法を見て、いやそんなん思いつくか、と思った記憶があります。

プトレマイオスの定理ともいうらしい。なんでプトレマイオスとトレミー?と思っていたのですがスペル(Ptolemy)をみて納得しました。

 

証明

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∠BAP=∠CADとなるような点Pを線分BD上に置ける。

∠ABP=∠ACD(円周角)

よって2角が各等しいので

△ABP∽△ACD

これより

AB:BP=AC:CD

AB・CD=AC・BP  ・・・①

 

∠PAD=∠PAC+∠CAD=∠PAC+∠BAP=∠BAC

∠PAD=∠BAC

又、∠ADP=∠ACB(円周角)

△ABC∽△APD

AC:BC=AD:PD

AD・BC=AC・PD  ・・・②

①②を足して、

AB・CD+AD・BC=AC・BP+AC・PD=AC(BP+PD)=AC・BD 

AB・CD+AD・BC=AC・BD

ac+bd=xy

 

これは示されるべきことであった。

 

思いつかないよこれは。中に相似な図形を作るのは思いつかない。

 

考えてみたが何にも思いつかなかったです。解法を見てみますと思いつきそうな気がしないでもないようなきがするような。いや、思いつきませんでした。

 

逆の証明

四角形ABCDの線分ABに外接し、△ACDと相似な図形となるような△ABQを作る。

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△QACと△ABDで仮定より

QB:DC=AB:AD

QB:c=a:d

QB= \displaystyle \frac{ac}{d} ・・・①

AQ:AB=AC:AD

AQ:a=x:d

AQ= \displaystyle \frac{ax}{d}

より

AQ:AC=\displaystyle \frac{ax}{d}:x=a:d=AB:AD

AQ:AC=AB:AD  ・・・②

仮定より

∠QAB=∠CAD

∠QAB+∠BAC=∠BAC=∠CAD

∠QAC=BAD  ・・・③

②③より二辺の比とその間の角が各等しいので△QAC∽BAD

これより

QC:BD=AC:AD

QC:y=x:d

QC= \displaystyle \frac{xy}{d} ・・・④

四角形ABCDが円に内接する条件は対角の和が180°であることなので

∠ABC+∠ADC=∠ABC+∠ABQ=180°

つまり3点QBCが同一直線上にあればよい。

これは

QB+BC=QC

と言えるので①④より

\displaystyle \frac{ac}{d}+b=\displaystyle \frac{xy}{d}

両辺にdを掛けると

ac+bd=xy

これは示されるべきことであった。

 

まさか対角の和が補角となることを利用するなんて思いもしなかった。

 これは思いつかない。誰が思いつくんだ。

しかし気持ちのいい証明ですね。同一法のようなモヤモヤした感じがありません。同一法による証明がだめって訳じゃないんですがどうにもこうにもモヤモヤと私はします。

それに対してこの証明は、あまり使われない二辺の比とその間の角、対角の和が補角、同一直線上、う~ん。凄い。

 

 

文献

高校数学解法事典 旺文社

幾何学大辞典第一巻 岩田至康:編 槙書店